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中国株

中国経済の優位性はホンモノか?
 中国経済の回復   景気回復の3つの理由   リスクと考察
 
世界同時不況から世界的な経済成長が徐々に見えるなかで、国により勝ち組、負け組の姿が鮮明になってきました。そのなかで、「中国」のポジションは、本当に他国と比べて魅力的なのか? 世界経済を牽引すると言われる中国経済の実態に迫ります。
 
  中国経済の回復  
  GDP成長率:ついに世界第2位のポジションへ  
     
  他の新興国とは格段に差のある経済規模
 
  中国の経済発展は著しく、2010年には日本のGDPを超えることが予測されています。先進国に肩を並べるその規模は、BRICSの他国とは格段の差を見せ付けています。
 
【 名目GDPトップ10 】単位:10億米$
国名 2006年 国名 2007年 国名 2008年 国名 2009年 国名 2010年
アメリカ 13,399 アメリカ 14,078 アメリカ 14,441 アメリカ 14,266 アメリカ 14,704

日本

4,363 日本 4,380 日本 4,911 日本 5,049 中国 5,263
ドイツ 2,920 中国 3,382 中国 4,327 中国 4,758 日本 5,187
中国 2,658 ドイツ 3,328 ドイツ 3,673 ドイツ 3,235 ドイツ 3,326
イギリス 2,443 イギリス 2,800 フランス 2,867 フランス 2,635 フランス 2,745
フランス 2,270 フランス 2,598 イギリス 2,680 イギリス 2,198 イギリス 2,353
イタリア 1,865 イタリア 2,118 イタリア 2,314 イタリア 2,090 イタリア 2,172
カナダ 1,278 スペイン 1,443 ロシア 1,677 ブラジル 1,482 ブラジル 1,724
スペイン 1,236 カナダ 1,427 スペイン 1,602 スペイン 1,438 スペイン 1,475
ブラジル 1,089 ブラジル 1,334 ブラジル 1,573 カナダ 1,319 カナダ 1,439
※2010年は予測値
データ:International Monetary Fund, World Economic Outlook Database, October 2009
 
  堅調継続!GDP成長率  
  中国は、米国、日本等の先進国はもとより、BRICSの一角インドをも凌駕する経済成長率が予測されています。  
 
【GDP成長率】
GDP成長率
※2010年、2011年はIMF予測値
データ:IMF「World Economic Outlook Update A Policy-Driven, Multispeed Recovery January 26, 2010
 
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  外需依存から内需へも裾野を拡大  
   
  一党政権の機動性でなし得た、どこよりも早い景況感の回復
 
  中国では、リーマン・ショック(08年9月)の後わずか2ヶ月の11月に景気対策を打ち出しました。
早くもその4ヵ月後には、製造業購買担当者景気指数(PMI)が景気判断の節目となる「50」を上回り、 その後12ヶ月連続で上回っています(2010年3月)。
 
【 中国 製造業購買担当者指数 季節調整済 (PMI) 】
中国 製造業購買担当者指数 季節調整済 (PMI)
データ:China Federation of Logistics、参考:Bloomberg
 
  外需から内需へも・・・ 景気浮揚策は次々と
 
  2008年の中国の名目GDPに占める消費の割合は36.1%と、同じ新興国のインドと比べても低水準にあります。そこで、中国政府は一段の景気浮揚の起爆剤として「内需」へ目を向け、リーマン・ショック後の世界的な不況を好機として、外需依存から内需拡大へと思い切って舵を切りました。農村部住民が家庭電化製品を購入する際に補助金が支払われる「家電下郷」、自動車購入の際の「汽車下郷」や小型車向けの減税措置など数々の内需拡大策が実行されています。  
【 中国 小売売上高 】
中国 小売売上高
データ:中国国家統計局、参考:Bloomberg
 
【 2008年 GDPに占める消費の割合 】
2008年 GDPに占める消費の割合
データ:中国国家統計局
 
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  ついに世界1位となった自動車販売  
 

  自動車大国を凌ぐ販売台数【 月間 自動車販売台数 】  
  月間 自動車販売台数
2009年の中国の新車自動車販売は1360万台で、米国を抜き世界1位となりました。中国政府は2010年の自動車販売台数について、前年比+10%の1500万台と予測しています。
 
データ:ブルームバーグインデックス、China Automotive Information N
参考:Bloomberg
 
 

まだまだ、拡大? 中国自動車関連企業のM&A事例

世界最大規模の自動車市場を背景に業績を拡大しつつある中国企業が、海外企業を盛んに買収しています。
ウェイ柴動力(2338)によるMOTEURSBAUDOUIN(フランス)の部分資産の買収(2009年1月)
ジーリー・オート(175)によるDSI(オーストラリア)の買収(2009年3月)
北京京西重工によるデルファイ(Delphi Corporation、米国)の部分業務買収(2009年11月)
北汽(北京汽車製造有限会社)によるサーブ(SAAB、スウェーデン)の買収(2009年12月)
ジーリー・オート(175)によるボルボの株式100%取得(2010年3月)

 
 
  出遅れていた輸出、やっと来たV字回復  
  待っていた輸出のV時回復【 中国 輸出額の伸び率 】
中国 輸出額の伸び率
リーマン・ショック後マイナス成長に陥った中国の輸出は、世界的な景気低迷の影響を受け、好調といわれる中国景気の足を引っ張る存在でした。

しかし、2009年12月には前年比+17.7%、2010年2月には前年比+45.7%とV字回復を果たし、本格的な回復の足固めとなっています。

データ:ChinaEconomicInformationNet、参考:ブルームバーグ
 
 

コラム 輸出といえば、海運事情

輸出の回復を反映するのが海運セクターです。海運業は輸出の需要減少と行きすぎた設備投資で、2009年は世界的に業績が振るいませんでした。 2010年に入り、中国、インドをはじめとする新興国の需要が順調に回復しており、チャイナ・コスコ(1919)、中海集運(2866)などの中国の大手業者は輸送料の値上げを行いました。


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  景気回復の3つの理由  
  1.政府主導の景気刺激策~ 迅速で巨額な財政投資  
 
【 財政出動内訳 】
 

財政出動:世界で一番早かった本格的景気対策

2008年11月、中国政府は大規模インフラ建設を軸とする「4兆元の景気対策」を行い、国内外に大きな影響を与えました。

中国共産党の一党独裁体制だからこそ発揮できた機動性や、従前から負債が少なく磐石な財政体質が、このような巨額の財政出動を可能としました。

中国政府の機動性について、経済のソフトランディングを目指した出口政策や、投機・過熱を抑えるための不動産投資抑制策など、今もなお、そして今後も大いにその手腕が期待されます。

 
 
  投資スケジュール:2010年も継続  
  4兆元のうち、中央政府の負担分は1兆1800億元(残りは地方政府)で、その投資スケジュールは下図の通りです。 景気回復が鮮明となった2010年も、経済の下支えとなる財政出動は順調に進行しています。  
 
【 ”4兆元投資”の財源 】 【 中央政府負担分の投資スケジュール 】
”4兆元投資”の財源 中央政府負担分の投資スケジュール
データ:中国財務部 ※11~12月のみ
データ:中央財務部、上海証券報
 
  2.中国特有の金融システム~市場を守った政府のコントロール  
 
  中国政府は金融危機に直面して、海外の金融情勢が中国の金融市場に与える影響を限定的となるようコントロールしました。これも、中国経済の回復に有利な状況を作り出す一因となりました。  
 
  管理変動相場制: 米ドル安からの影響回避

 
  現在、人民元は事実上のドルペック制になっています。これにより、米ドルの信用低下に伴う自国通貨高騰と、それに伴う輸出関連企業への経済的打撃を回避することに成功しました。

しかしながら、この制度は中国の輸出に有利なため、人民元の切上げ要請が強まっています。そのため、今度は人民元資産の価値上昇への期待感が出ています。
 
 
【 人民元レート(1米ドル当りの人民元価格) 】
人民元レート
データ:Bloomberg
 
  株式市場: 役割分担で守る本土市場

 
  上海と深センの証券取引所では、A株B株と区分けされています。市場の99%を占めるA株は国内投資家と一部の海外機関投資家のみが売買できます。 なお、中国政府は、香港市場を中国への投資の国際的な窓口として位置づけています。

このように通貨制度と株式市場の両方が海外からの直接の影響を受けにくい構造となっているため、リーマンショック後の世界的な金融システムへの不安のなか、投資家への心理的な影響はあったものの、実体経済への影響は相対的最小限に抑えられたことも中国経済の回復に有利に働いたものと考えられます。
 
 
【 中国の各株式市場データ(2010年3月末現在) 】
中国の各株式市場データ(2010年3月末現在)
換算レート:1香港ドル=12.037円、1人民元=13.693円
データ:香港交易所(香港はGEM、ETF等を含む)
 
コラム 人民元切り上げ

人民元の切上げは、元建て資産の保有者に有利となります。しかしながら、原則として、不動産や元建て株式(A株)の購入は海外投資家には認められていません。
そこで、その恩恵を享受する手段として、A株に投資するファンドへの投資が考えられますが、その他、元切り上げで業績に好影響が見込まれる航空、鉄鋼、電力関連企業の株式への投資も妙味があるかもしれません。

 
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  3.経済の発展余地~ 13億人が生み出すGDPの伸びしろ  
  中国一人当たりのGDP
 
  2009年、中国のGDPは世界第3位、2010年には2位になると予測されています。しかし、GDPを「国民一人当たり」に換算すると世界ランキングで第105位(2009年)。まだまだ低水準です。13億の人口を擁し、そのなかで貧富の差が大きいため、全体として生活水準にはまだ上昇の余地が大きく残されています。農村向けの経済政策も出されており、一人当たりのGDPがかさ上げされると、人口の巨大さとあいまって、全体としてのGDPも大きく成長することが期待されます。  
 
【1人当りのGDP成長率】 (2005~2008年平均)   【1人当りのGDP成長率】
 
【1人当りのGDP成長率】 (2009~2014年平均、予測値)   【1人当りのGDP成長率】
 
【 1人たりの名目GDP 】
1人たりの名目GDP
※2009年以降は予測値
データ:IMF, World Economic Outlook Database, October 2009
 
コラム 農村部の都市化
広大な国土を持つ中国は、地域ごとの発展に大きな隔たりがあり、農村部と都市部では、可処分所得、個人消費支出ともに3倍以上の開きがあります。政府の農村部振興策、産業構造の変化に伴い、今後の大きな成長が期待されます。
  都市部 農村部
可処分所得 (2009年) 17,175元(約24万円) 5,153元(約7万円)
個人消費支出(2008年) 11,243元(約15万円) 3,661元(約5万円)

換算レート:1人民元=13.693円
データ:中国国家統計局
 
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  リスクと考察  
  いつか迎える出口戦略  
 
  インフレ圧力 【 中国の消費者物価指数 前年同期比 】
 
中国国内の物価が上昇傾向を示しています。2010年3月に発表された中国のCPI(消費者物価指数)は前年同月比で+2.7%となっています。

中国では工業化に伴う農地の減少や商品価格の上昇を受け、食料品価格が上昇、インフレ圧力が高まっています。

データ:ChinaEconomicInformationNet、参考:Bloomberg
 

【 中国 固定資産投資(都市部類型) 】         資産バブル懸念

CPIの+2.7%は名目金利の+2.25%を超え、実質金利は-0.45%に。この超低金利状態を背景に投資商品や不動産のバブルが加速する懸念が生じています。
マイナス金利を解消するため、金利引き上げの懸念が強まっています。
 
  中国政府は、インフレや資産バブル等、景気浮揚策の副産物解消を図ろうとしています。
出口政策のタイミングやペースが適切にコントロールされ、内需拡大策や農村部振興策などの国策が奏功すれば、健全で長期的な経済成長が実現されると考えられます。
 
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