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新しいチャンスの時代に架かる橋




30kmの珠江河口を横切る「港珠澳(香港‐珠海‐マカオ)大橋」。これが完成すると、壮大な光景が現れ、地域のランドマークとして世界に認められるようになるだろう。30kmのうち約23kmは珠江の河口湾をまたぐ海上にかかる橋となり、残りの6.7kmは水深29mの海底トンネルとなる予定。「(港珠澳大橋は)珠江デルタ域内の交通の大動脈を果たすようになる」と語るのは、運輸及房屋局の鄭(チェン)局長。「香港と珠江デルタ(PRD)西部地域を結ぶこの大橋は、1日数万台に上る車両の往来を可能とすることで、香港に多くの恩恵をもたらし、ビジネス及び輸送の拠点としての地位を高めることになる。」とも。
期待される恩恵の中でも、とりわけ中国本土と香港がつながり一体化するという戦略的な価値が注目される。香港は、この橋によって、急成長している中国本土の高速道路への直接的なアクセスができるようになる。このため、珠江デルタ西部域進出のビジネスチャンスが増加し、さらに広西地区や海南島などへ拡大していくことも可能となる。

 

動時間短縮のための“橋渡し”
鄭局長は、「珠江デルタ西部地域~香港間のアクセスが3時間に縮小されることで、香港にとっては本土の一部の主要商工業都市へのアプローチが容易になる」と指摘。これによって、豊富な労働力を低コストで調達し、広大な商業開発用土地を利用することができるようになる。
「観光客やビジネス・パーソンの移動時間が短縮されることは、最も大きな恩
マカオ移動時間短縮
恵のひとつとなる」と鄭局長は話す。香港から中山地域への移動は、既存の交通網を用いた場合2時間半もの時間を要するが、港珠澳大橋の完成によってこれが60分短縮される。またマカオに行く際には30分以内のアクセスが実現できる。
この効果は、輸送においてはさらに顕著となる。例えばクワイ・チェンのコンテナ港から珠海までの所要時間は現在の3時間半(210分)から75分へと、6割以上も短縮が期待できる。また、香港国際空港~珠海間は現在の4時間(240分)から8割減の45分となる。
ビジネス面でも、輸送費や車両メンテナンス費用の削減という意味での節減効果が見込まれる。長期的に見た場合の港珠澳大橋の経済効果として、運営開始後20年で230億元の利益が香港にもたらされると推定されている。
 
「戦略的恩恵」
鄭局長によると、この大橋の完成で、香港はとりわけ運輸・供給関連の産業において戦略的に有利で、かつ強い競争力の基盤を固めることになる。「港珠澳大橋の運営が開始される2015~2016年以降、香港から3時間の交通圏内として、面積1万7000平方km、人口5000万人という地域がカバーできるようになる」見込みで、「交通の利便性向上に伴い、貨物輸送範囲の本土内陸部への拡大や新たな消費市場の開拓が可能となり、運輸・物流セクターの活性化をもたらすだろう」と鄭局長は自信を見せる。
局長はまた、香港経済の一基盤とされる空港でも恩恵を受けられることに言及。空港と近接するランタオ島に交通経路が集約することで、珠江デルタ西部からの旅行者にとって快適な出発地点となり得る。「珠江デルタ西岸からの観光招致効果が見込まれるとともに、香港市民にとっては、同デルタ西部地域に対する事業活動や観光における利便性を高めることにもなる」(鄭局長)。

また珠江デルタ西部地域の人々が受ける恩恵も、香港と同様に大きく長期的なものとなる。同地域から香港やASEAN諸国へのアクセスが容易になれば、雇用の創出、ひいてはGDPの成長が見込まれるからである。同様に、珠江デルタ西部での経済が軌道に乗り始めた後でも、香港は、レストラン、ホテル、旅行業といった産業の促進という間接効果においても恩恵を受けることができる。

大橋開通後の20年以内に1日の交通量は、(一方向3車線の自動車道を時速100km以下で走行した場合)車両で5万台、人数にして23万人に達すると見込まれている。これは、羅湖(香港・深セン間にある国境地点)の現在の通過量とほぼ等しい。

港珠澳大橋の「実現可能性調査」は昨年完了し、現在は「China HPDI and COWI A/S社」「OveArup &Partners Hong Kong Ltd」「上海トンネル技術及び鉄道輸送研究所」「CCCC First Harbour Consultants社」が共同で基本設計の作業を進めている。港珠澳大橋の建設費用は総額約380億元。このうちそれぞれの負担分は、香港が67.5億元、マカオ19.8億元、中国本土70億元となっている。費用の残り58%の資金は、中国銀行を主幹事とするシンジケート・ローンで調達される予定。この資金調達の方法は、先に検討されていたBOT方式(一括事業請負後譲渡方式)よりも低コストに抑えられることから、橋の通行料は自家用車で100元、トラックで200元という低料金で設定されることが見込まれる。これを受けて、交通量の予測も上方修正されるに至った。
 
界水準のデザイン
港珠澳大橋は、珠海とマカオを結ぶ西側部、長さ30kmの中間部、香港領内の東側部という3つの部分から構成される計画となっている。香港領内の海上橋の長さは5kmで、ランタオ島西端のサンシェクワン(散石湾)まで架かる。香港リンクロードと名づけられるこの橋は、人工島にある空港から東部の新出入国施設(BCF)に沿って岬部分を通る設計。
「港珠澳大橋は距離の長さのみならず、橋とトンネルが一体化するという形状
マカオ港珠澳大橋
においても、世界中の大規模な海上高速道路に引けをとらない」と鄭局長はコメントし、「目を見張るようなこの建造物は、香港と珠江デルタ双方にとっての名所になるだろう」と予想する。
 
出入国施設(BCF)により香港は交通の拠点に
港珠澳大橋は、開通の初日から主要な国境通過地点の機能をも果たし、2035年までには通過人数が23万人に達すると見込まれている。この計画に関して重要な役割を担う出入国施設(BCF)には、税関も設置され、多くの渡航者が行き交うことになる。マカオ、珠海、香港の各政府は各領域内にそれぞれの出入国施設(BCF)を設置する予定。

香港ではこのBCFの設置候補場所として、一部を埋め立てて造った空港西側の海上、またはランタオ島に橋梁が接続する陸地点、あるいは空港島東側(東涌の北方約2km)の3ヵ所が検討されていた。高速道路局の韋志成(Wai Chi-sing)局長によると、第一の候補地である人口島西側の海上での設置案は、珠江の水流に悪影響を及ぼすことが調査でわかったために却下となった。仮にこの地域に設置した場合、長期的には堆積物が増加して洪水が生じ、上流地域の生態系に被害を与える恐れがあるとされている。また候補地の2ヵ所目、ランタオ島への設置案も、橋接続部の20m圏内に密接して居住する住民を含めた周辺住民の大気環境に影響が出るとされたために廃止された。もし仮にこの案を採用していた場合、35ヘクタールに及ぶ森林地帯の開拓や2万本の木の伐採を伴う「環境破壊」へと事態が発展していただろう、と同局長は指摘する。この結果、専門家たちは第3の候補地である空港東部のフェリー乗り場(Sky Pier)付近に設置することを決定した。韋局長は、多くの有利性をもつ同地にBCFを置くことで、香港は交通要地としての地位を高めることができると述べている。

「珠江デルタ地域からの渡航者にとって、香港空港はさらに魅力を増すだろう。我々は現在、空港ターミナル内で使用されている無人シャトル(APM)を経由して、空港とBCFを接続させる可能性を検討している」と同局長は話す。「これが実現すると、西側より大橋を渡ってくる渡航者は入国管理を通過する必要がなくなり、乗り継ぎ乗客のようにAPMを用いて航空便に乗り換えることができるようになる」(韋局長)
 
して観光名所にも
前出の韋局長はまた、空港東部への出入国施設(BCF)設置によって、珠江デルタ地域からやって来る観光客が東涌のショッピングモール、ロープウェイ「昂坪360」、ディズニーランドといった観光地へ向かう際のアクセスもさらに容易になるという。その上、屯門~チェクラップコク間連結道路や香港~深センの空港間を結ぶ特急鉄道といった計画中のインフラ・プロジェクトへのランディングポイントともなり得る。
他方で、東涌住民のための調整対策は既に進められていると韋局長は話す。この対策には、橋からトンネルへの連結道路で東涌に近い部分のデザインを変更し、視界を遮ることのないようにBCF施設を低くするといった措置も含まれている。
なお、韋局長は、詳細な調査により、大気環境と騒音レベルが現行法の基準に適っていることも明らかにされたことを説明。「この点を重要視している」と強調し、「研究や調査の結果、もし仮に大気環境の数値が香港の基準を満たしていないのなら、このプロジェクトは実行に移されなかったであろう」と述べている。
 
ルカの保護
この地域に生息するシナウスイロイルカの保護もまた、港珠澳大橋建設プロジェクトにおいて考慮すべき問題のひとつである。シナウスイロイルカは珠江口におよそ1400頭、このうち香港海域には約300頭が生息すると言われている。高速道路局の韋局長は、橋の建設がイルカに多大な影響を与えないという調査結果を明らかにした。また今後の状況監査を継続し、イルカが建設現場へ極端に接近する際には工事を一時停止するといった措置を講じていく予定。
同時に、局長は「環境の撹乱を緩和する対策も実施する」計画を示している。その説明によると、「イルカは杭打ちの音に非常に敏感だが、気泡カーテンを用いて音波を排除することが可能」であり、「杭打ち現場周辺の海底に配置した大型チューブの穴から送り出される圧縮空気が、エアカーテンとなって音を包み込む仕組み」となる。韋局長はまた、BCF建設場所としてランタオ島西部に決定しなかったのは、イルカの餌場である同地を避けるためでもあった、とも打ち明けた。 マカオイルカの保護


この資料は投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたものであり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。投資対象となる有価証券の価値や投資から得られる収入は、証券価格の変動のほか、発行体の経営・財務状況の変化、金利や為替相場の変動やその他の要因によって変化する可能性があり、投資額を下回る場合があります。また過去の実績は必ずしも将来の成果を示唆するものではありません。投資に関する最終決定は投資家ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。
本資料は、ユナイテッドワールド証券が「South China Morning Post紙(2009年4月30日)」の1面を全文翻訳したものです。その情報や翻訳の正確性、完全性を保証するものではありません。また、本資料に記された意見や予測等は、資料作成時点での当社の判断であり、今後予告なしに変更されることがあります。本資料はその目的の如何を問わず無断の複写、複製、配布することを禁じます。本資料はお客様限りでご使用ください。
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